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誘惑の時間

俺の隣で蒼がうつらうつらして 
今にも眠りに落ちていきそうな気配

眠いのを堪えてるような感じ

あぁ、眠いなら寝ていいよ、俺の肩に寄りかかれよ

そう思って俺は肩を差し出したら
蒼が寄りかかってきた
 
「蒼、眠そうーー疲れてる?」

「昨日、徹夜で勉強してーーごめん、輝」

蒼が俺の肩によりかかったことを詫び、
姿勢を戻そうとしたところを俺は抱き寄せた。

「そんなに頑張るなよ。
俺が手取り足取り教えてあげるから」

「輝がそんなこと言うとなんか嫌らしいーーその手何?」

俺の手は蒼のシャツの下から肌に触れようとしていたのを蒼に払われた。

ガードきつい!

「せっかく二人きりなのに! 俺にご褒美なし?」

「ん?」

やべっ、心の声がーー

蒼にそんな色っぽい顔されるとさーー

あくびを堪えて少し涙目になってるところとかーーなんかヤバくね? 俺、蒼に誘われてる!!

俺にかかれば蒼がちょっと眠たげにしてるだけで色っぽく見えてしまうんだ

こんなに近い距離でさ、二人きりでーー

正直言って勉強どころではなくなってる

俺ってさ、高校生だよ?

好きな子との距離がいつもより近かったら興奮すんの当たり前じゃね?

鼻息荒いの蒼にバレてるかな?

蒼のために遠慮してるけど暴走したいお年頃なんです。

俺はドキドキしてるのにさっきから蒼はうつらうつらとしていて緊張感なし、むしろ無防備ですらある

さっきのご褒美は?って言葉も蒼に認識されなかったみたい

うつらうつらと蒼がしてる時に
首が傾いた。見えた首筋に妙に胸が高鳴る。

どうしてそんなに無防備なのかな?

俺の理性の限界を超えそうだ。
今すぐその首筋に吸い付いて蒼を味わいたい。

今にも睡魔により意識を失いそう。

そんな状態で蒼を襲うなんてだめだよな!

勉強に集中しないとーー

教科書とノートに睨めっこする俺

視界に入ってくる無防備な蒼の姿

いやいや、全く集中できない!!

今にも襲ってくれとでもいうように
誘ってくる蒼という花

でもそれは繊細で儚くて
俺が気軽に詰んだらだめなんだ!

俺は理性を最大にして蒼に襲いかかりたくなるのを堪えてるのに蒼と来たら、
俺にもたれかかってきた。
ふわっと香る蒼の甘い匂いに
俺の胸はドキドキ最高潮
パニックパニック!!

俺にどうしろ!ってんだよ!!
襲いかかって欲しいのかーー
俺、我慢の限界!
もう勉強どころじゃないし!

甘く誘ってくる蒼の唇に
そっとキスをした。

これぐらいなら許してもらえるよな?

俺がキスをしても蒼は起きない。
唇からは微かな寝息がきこえてきた。

俺のキスに気が付いてもらえないのは
何だか悔しいけどーー

蒼はついに睡魔の誘惑に負けて俺に身体を預けて寝てしまった。肌を通して伝わる蒼の体温が
あたたかい。
俺が動いたら蒼が目覚めると思って
ジッと耐えてる。
寝ているところを襲わないけど
手を握るぐらいなら許してもらえるよな?

「う、うーーん」

時折聞こえてくる蒼の甘い声にドキドキしてしまう。

どうして君はそんなに無防備なんだ?

俺、試されてる?

結局俺は勉強に集中することができず、
無防備な蒼に理性を揺るがされながら何とか耐えた。

数時間耐えて頑張った俺にご褒美が欲しい。

数時間経って日も暮れ出した頃、
よくやく蒼が眠りから覚めた。

そんな蒼に俺は「気持ち良さそう」に寝てたねと言った。
理性を最大限に発揮して何とか留まりつつも、蒼の寝顔を観察する余裕はまだあった。
蒼の恋人で定期的に蒼と身体を繋いでる俺を舐めんなよ。

「あぁ、ごめんーー俺、寝てた?」

「蒼、俺以外と勉強するなよ?」

俺以外の誰かの前で無防備にならないで

「俺が一緒に勉強する人は輝くんしかいないよ」

くぅぅっーー嬉しいこと言うじゃん。

感極まって俺は蒼の頭を優しく撫でた。

「ちょ、ちょっと!! 何すんだよ! 子供扱いしないで」

顔を赤く染めて恥ずかしそうにする蒼。
とても嫌そうには見えない。
俺に気を許してるように見える。
もっとやって?と言ってるように聞こえるのは
気のせい?

そのまま勢いとノリで蒼を抱きしめた。

「俺、頑張ったんだからご褒美くれよ。
蒼が寝ても襲わなかったんだから」

言葉で返事をする代わりに蒼が自分から
キスを仕掛けてきた。

見つめ合って、今からOK?って蒼と視線で交わして、ベッドに向かった。

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奏月美琴

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