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生憎の雨だけど

せっかくの休みなのに今日は出かけられないねと残念そうに輝くんが電話で言った。

そうだね、と俺は頷いた。

今日は生憎の雨ーー

せっかく蒼と遊べに行けると思ったのに、と電話の向こうにいる輝くんは悔しそうだ

そんなに俺と会えるのが嬉しい?

輝くんに必要とされると思うとーー

胸から感情が溢れ出しそうなところを俺はグッと堪えた。

しようがないよ、と俺はポツリと言った。

雨だからもう大人しくしておくしかないかーーと呟いた。

あぁ、輝くんに会いたかったなーー

学校でいつも会ってるけどーー

俺の呟きに反応するように
輝くんは「いや」と言った。

何が嫌なの?

俺は輝くんが続きを話すのを待った。

「何で雨だからって大人しく待ってなきゃいけないんだよ! せっかくの休みだろ!」

「でも雨だよ? 俺は雨で濡れるの嫌だ」

「俺は蒼に会いたいんだよ」

「いつも学校で会ってるでしょ?」

あぁ、輝くんから俺に会いたい!と言ってもらえると嬉しいーー
なのに感情を抑えて淡々と話してしまう。

「学校で会うのと休みの日に会うのとでは違う! 休みの日に蒼に会うのは特別なんだよ!」

あっ、それ分かるーー

制服姿の輝くんと普段学校で会うのと
私服の輝くんと休みの日に会うのは違う。

あぁ、なんかこう、胸がときめいてギュッと掴まれる感覚。

俺の頭の中で輝くんの特別って言葉が反響して聞こえた。

休日の俺は輝くんにとって特別なんだ。

「別に普段の日も休みの日も変わらないよ?」

「蒼に休みの日も会えると俺は嬉しいんだよ! そういうことが俺にとっては特別って言うんだ!」

そもそもの話、輝くんにとって俺そのものが特別な存在なわけであってーーー

それはどういうことかと言うとーーー

感情が爆発しそうだったので
思わず俺は言った。

「じゃあ、今日俺の家来る?」

「え、蒼の家に行っていいの?」

「うん、今日家族、誰もいないよ」

家族がいないとはどう意味かーー

親いないからそういう行為も込みでってことでーーー

俺なりにやんわりとして誘ってるのは輝くんに伝わってるかな?

「よっし、今すぐ行く! 待ってろ!」

あぁ、この胸の高まりが輝くんにバレてませんようにーーー

輝くんとの電話が終わった後、俺はスマホを放り投げてベッドの上で深呼吸をした。

あぁ、シャワー、浴びなきゃーー

ふらふらと立ち上がった。

輝くんが来るまでに身体と髪を念入りに洗っておかなきゃーー

幼馴染の葵ちゃんが
おすすめしてくれたいい香りのするシャンプーで髪を洗って、
また甘い香りのするボディーソープで身体を優しく洗った。

丁寧に洗ってるとあっという間に時が過ぎて
チャイムの音が鳴り響いた。

俺は髪をタオルでさっさと拭いて
半分濡れたままで輝くんを家に出迎えた。

「早かったね!」と出迎えた俺に輝くんは一言言った。

「甘い香りがするーー。
っていうか、今日の蒼、何だか色っぽい!!」

「え、そうかな? 普通だよ」

「やっぱり休日の蒼は特別なのか!
普段の蒼と違う!!」

「いつもと同じだよ」

「いやいや、違うからーー!
普段の蒼もいいけどさ」

うわっ、葵ちゃんが勧めてくれた香り効果すごっーーー

輝くんは野生の男だから香りを使うのがいいよって言ってくれた。

野生の男って何だろう?って思ってたけど、
少し雨に濡れた輝くん見てると、何だが分かるような気がする。

俺がやることを期待してシャワー浴びてたなんて輝くんにバレたら恥ずかしいな。

俺の部屋でゲームしたり、映画を見たりして
たわいもない時間を過ごしていたら
あっという間に夕方が過ぎた。

俺はドキドキしながら輝くんの動向を待っていたのだが、特に俺に何かするわけでもなく、帰る気配を漂わせた輝くんに動揺した。

俺は輝くんに何か仕掛けて欲しくて待ってたのにーーー

帰るなんてそんなーーー

帰ろうとする輝くんの服を引っ張った。

この人、俺が大好き!っていう圧は凄いのに
遠慮して俺に触れてこないことがよくある。

そこがいつも物足りないーーって思う。

輝くんの腕で力強く、俺の身体にいっぱい触れて欲しい!!

俺は輝くんにめちゃめちゃにされたい!

壊してもらいたい!

俺が俺であるということを忘れるくらい
輝くんの腕の中で乱れたい。

このまま輝くんを家に帰してしまったら
俺は確実に不完全燃焼で夜眠れない

俺は衝動的に言った。

「輝くん、俺、まだ満足してないーー
本当にやりたかったことまだやってない!
輝くんで俺を満たして欲しいーーー!
めちゃくちゃにされたい!!」

その時、輝の声が聞こえた

せっかく暴走しないように抑えてたのにーー

何を?

その時、葵ちゃんの輝くんは野生の男だからねーーという言葉が聞こえてきた。

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奏月美琴

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